「頂き女子」実刑確定 懲役8年6月 最高裁が上告を棄却
「頂き女子」実刑確定へ 懲役8年6月Prison sentence finalized
「頂き女子」実刑確定へ 懲役8年6月、上告棄却―最高裁
恋愛感情を利用して多額の金銭を騙し取ったとして世間を騒がせた、「頂き女子 りりちゃん」に対する裁判が終了し判決が確定しました。
日本では正しい裁判を実現するため三審制度が取られています。
三審制とは、「第一審」「第二審(控訴審)」「第三審(上告審)」という三つの裁判所を設け、原則3回まで審理を受けることができる制度です。
今回のケースでは、第二審の判決に不服があり上告したものの、最高裁が「上告の要件を満たしていない」または「上告の理由を認めなかった」ため「棄却」し、これにより第二審の判決が確定しました。
頂き女子りりちゃん実刑確定の記事が、時事通信に掲載されていましたので紹介します。
「頂き女子りりちゃん」と称し、恋愛感情を利用して複数の男性から現金をだまし取り、その手法をマニュアルとして販売したなどとして、詐欺や詐欺ほう助などの罪に問われた被告の上告について、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は棄却する決定をした。
14日付。懲役8年6月、罰金800万円とした二審名古屋高裁判決が確定する。二審判決によると、渡辺被告はマッチングアプリなどで知り合った男性3人から計約1億5000万円をだまし取ったほか、マニュアルの購入者が男性から約1000万円を詐取するのを手助けした。
また、2022年までの2年間に所得税約4000万円を脱税した。
懲役8年6月 罰金800万円が持つ意味とは?
妥当な判決と考えられる
今回確定した懲役8年6月 罰金800万円の判決には様々な意見があると思いますが、個人的には非常に重い判決と感じています。
その理由として、男女間の恋愛感情を利用した金銭トラブルは当社にも多くの問い合わせがあり、ロマンス詐欺はあり触れた犯罪であり判決が重いと感じるのかもしれません。
また、恋愛感情を利用した金銭トラブルは、警察の対応が消極的な場合があり逮捕まで至らないケースが多いからです。
念のため申しあげておきますが、恋愛感情を利用した金銭のトラブルは詐欺に当たるかの判断が難しく証拠が残っていないケースも多いので、警察の対応を批判する意図はありません。
今回の裁判では複数の罪に問われていますが、主に以下の3つの罪で起訴されているようです。
・詐欺:詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役。罰金刑は規定されておらず有罪判決が下されれば懲役刑が科されます。
・詐欺ほう助:詐欺ほう助の量刑は正犯の刑を減軽した刑が科されます。そのため、15日以上5年以下の懲役刑が課されます。
・脱税:脱税の量刑は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金またはその両方。脱税額が1,000万円を超えると脱税額と同額の罰金が課される場合もあります。
「詐欺ほう助」に比べると、「詐欺」と「脱税」は重い量刑が課せられています。
今回は、被害金額が大きい、被害者が複数いる、民事で解決していない、税金の支払いが済んでいない、ことを考えると妥当な判決であるのかもしれません。
裁判は過去の判決が大きな意味を持つ
裁判の判決は、判例法主義(はんれいほうしゅぎ)と言い、過去の判例を最も重要な法源とする考え方があります。
判例を第一次的な法源としており、裁判において先に同種の事件に対する判例があるときはその判例に拘束されるとする原則があります。
過去の判決に拘束される理由として、裁判は「事実」と「法律」に基づき公平は結論を出す場所であり、事実と法律が同じであれば判決も同じでなければ矛盾が生じてしまうからです。
つまり、「頂き女子りりちゃん」の判決は、今後の同種の事件の判決に大きな影響を与えます。
男女間の恋愛感情を利用した詐欺事件では、被告が詐欺事件で手にしたお金に対して税金を支払っているケースは稀と思われるので、今回と同様に詐欺と脱税の2つの罪で起訴できる可能性があると思われます。
「詐欺」と「脱税」に対して「詐欺ほう助」の量刑は軽いので、詐欺ほう助の罪がなくても大幅には減刑されないと思われます。
被害額が大きく複数の男性から金銭を騙し取っているので重い判決が出されたと考えられますが、恋愛感情を利用した詐欺事件の判決として大きな意味を持つでしょう。
金銭が戻ってくる可能性が高まる
恋愛感情を利用した詐欺被害に合っている方にとっては、重い刑罰の判例があると金銭を取り戻せる可能性が高くなるかもしれません。
詐欺事件では、刑事責任を追及する刑事裁判だけでなく、騙し取られたお金の返済を求める民事の問題が発生するケースが多いです。
今回の判決である「懲役8年6月と罰金800万円」は国が被告に課す刑罰であり、騙し取られたお金を被害者が取り返す裁判ではありません。
被害者が騙し取られたお金の返済を求める方法は、当事者同士の話し合いによる和解と民事訴訟があります。しかし、恋愛感情を利用した金銭トラブルの加害者は和解に応じない傾向にあります。また、民事訴訟で金銭を返還する判決が出ても、この判決を無視し実際には支払いがされないケースも少なくありません。
民事で金銭の返還を求める手段として、返還されないのであれば告訴をし刑事責任を追及する意思を示す方法が取られます。実刑判決など重い判決が予想される裁判であれば、被告は刑罰を受けたくないと考え金銭を返還する可能性があります。
また、既に刑事事件として扱われている場合でも、民事での和解が成立していると被害が弁済されている考えられ判決が軽くなる傾向にあります。そのため、実刑判決など重い刑罰を回避する目的で、和解を成立させたいと考える被告も多いようです。
懲役を伴う実刑判決は加害者にとって重い判決であり、お金を工面してでも返済を行う可能性があります。
加害者の特定や詐欺の証拠収集
恋愛感情を利用した詐欺被害では、加害者は初めから騙す目的で近づいている場合が多く、相手がどこの誰だか分からないケースは少なくありません。このような場合には、相手の住所や氏名を特定しなければ対処が困難です。
また、詐欺の証拠や金銭の受け渡しがあった証拠が必要ですが、これらの証拠は後からでも入手できる可能性があります。
恋愛感情を使用した詐欺事件だけではなく、金銭問題を抱えている方は当探偵社にご相談ください。
名古屋調査室ai探偵事務所では、同様の依頼を多く扱ってきた経験があります。提携弁護士と協力し最適な解決策をご提案いたします。
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