離婚後の共同親権法が成立 選択も可能、26年にも開始

共同親権法が成立 選択可、26年にも開始Joint custody law passed

離婚後の共同親権法が成立 単独親権と選択も可能、26年にも開始

以前より議論されていた離婚後の共同親権導入の法案が衆議院で可決成立しました。
現在は未成年の子どもがいる夫婦が離婚する際には、どちらの親が親権を受け持つ単独親権が定められており、親権で合意できないケースは少なくありませんでした。また、単独親権による問題も多く指摘されていました。
今後は、日本でも離婚後に共同親権が認められますので、様々な場面で単独親権とは異なる対応が必要と考えられます。
共同親権法が成立に関する記事が、時事通信に掲載されていましたので紹介します。

離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」を導入する民法などの改正法が17日の参院本会議で、自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主各党の賛成多数で可決、成立した。
離婚後は父母どちらか一方の「単独親権」に限る現行制度を77年ぶりに見直す。
新制度は2026年までに始まる見通しだ。

施行前に離婚が成立した人も、家庭裁判所に親権者変更の申し立てをして、認められれば共同親権に変更できる。
新制度は、父母の協議で共同親権か単独親権かを選択可能とすることが柱。協議不調の場合、家裁が「子の利益」を考慮して、どちらにするかを決める。DV(家庭内暴力)や虐待の恐れがある場合、家裁は単独親権にしなければならない。

出典:時事通信社 https://www.jiji.com/
2024年5月17日 配信記事

共同親権法の成立で何がどのように変わる?

共同親権の導入により、何がどのように変わるでしょうか。
現時点では、ガイドラインが公表されていませんので詳細は不明ですが、分かっている内容を紹介します。

共同親権が導入された理由
共同親権が導入される最も大きな理由として、「子どもにとって最善の利益は親の責務」という考え方があるようです。
離婚をする夫婦の大半が夫婦関係が悪くなっていますので、親権者が子どもと元配偶者を会わせたくないと考える人も少なくありませんでした。
しかし、この考えは元夫婦のわがままで自分勝手な行為で、子どもの利益を最優先に考えていない行動です。
そのため、今回の法改正では、「親の責務」として、
・子どもの人格を尊重し、子どもを養育する責務があり、親と同程度の生活を維持できるように扶養しなければいけないこと。
・婚姻の有無にかかわらず子どもの利益のため互いに人格を尊重して協力しなければならないこと。
などが明記され、「子どもの人格の尊重」は親の責務である考え方が明確に示されました。

また、先進国の多くでは共同親権が認められており、G7では日本のみが共同親権を認めていませんでした。
ハーグ条約に加盟しているにも関わらず国内法の対応が遅れている日本に対して、米国務省が「不履行国」と認定するなど国際的な批判も起きていた。
このような事情もあり、国際的に大勢である共同親権の導入が海外からも強く求められていました。
国際結婚が一般化し親権をめぐる問題も顕著化しており、日本も諸外国と制度を合わせる意味があるのかもしれません。

単独親権と共同親権が選択できる
今回の法改正により、離婚をする夫婦で単独親権と共同親権が選択できるようになります。
夫婦双方の合意があれば、今まで通り単独親権を選択することができますし、新たに導入される共同親権も選択できるようになりました。
しかし、夫婦の話し合いで合意ができないときには、家庭裁判所が単独親権か共同親権かを判断します。
裁判所が親権を決める際には「原則としては共同親権」の判断をし、DVや虐待の恐れがある場合は裁判所は単独親権にしなければならないとされています。
また、法務省は両親が話し合うことができない状態であり、共同で子どもの養育が困難な場合も単独親権になる可能性があるとしています。
つまり、子どもの私益が損なわれる特別な事情がない限り、裁判所は原則として共同親権の決定をすると考えられます。

現在の単独親権の両親も変更が可能
今回の共同親権導入の法改正は、法律が施行される2026年以降に離婚する夫婦のみが対象ではありません。
すでに離婚をしており現在は単独親権である元夫婦も、家裁に申し立てて認められれば共同親権へ変更ができます。
共同親権が導入された理由を考えれば、法改正前に決められた単独親権から共同親権への変更を認める規定は当然と言えるでしょう。

共同親権で変わること
共同親権となったら、子どもに関することは基本的に父母が話し合って決める必要があります。
つまり、今までは一方の親権者のみで判断できていたことも、今後は父母双方の合意が必要になる場面が増えます。これらは、離婚をしていない夫婦では相談をして決めており、離婚により親子関係は何ら変わりませんので当然の結論です。
今までの単独親権では、親権を持たない親の意見が無視される傾向が強い問題があり、今後は父母の意見が平等に子育てに活かせるメリットがあります。
ただし、例外として、「子の利益のため急迫の事情があるとき」や「教育や食事などに関する日常の行為」はどちらかの親の単独で判断ができます。
どのような場面で両親の同意が必要なのかについて、政府は法律の施行までにガイドラインを示すとしています。
現時点で法務省があげている例としては以下です。

【親権者両方の合意が必要なもの】
・幼稚園や学校の選択
・進学か就職かの選択
・海外留学
・転居先の決定
・生命に関わる医療行為

【どちらかの親の単独で判断できるもの】
・期限の迫った入学手続き
・緊急の手術
・虐待からの避難
・日常の行為
・子どもの食事
・習い事の選択
・ワクチン接種
・海外旅行

養育費と面会交流
養育費の不払いが問題となっていることから、支払いが滞った場合は他の債権よりも優先的に財産の差し押さえができるようにする「先取特権」が付けられます。
また、養育費を受け取る手間や負担を減らすため、財産の差し押さえ、収入や資産の情報開示を求める手続きが簡素化されます。調停などで養育費を決める段階でも、裁判所は当事者の収入や資産の情報開示命令を出せるようになります。
その他、養育費の取り決めをせずに離婚した場合でも、一定額の養育費を請求できる「法定養育費制度」が設けられます。

養育費の未払いの問題ばかり取り上げられていますが、調停での合意などで子どもとの交流を取り決めたにも関わらず、約7割で面会交流が約束通り実施されていない問題もあります。
そのため、別居する親子が定期的に会う面会交流も新たな試みが導入されます。
調停などで話し合いが続いている途中でも、家庭裁判所が面会交流を試しに行うことを促せるようにします。親子の面会交流を早期に実現する狙いがありますが、虐待のおそれがある場合などは認めないとしています。
また、親だけでなく祖父母などが子どもの養育に携わる機会が増えており、祖父母なども面会交流を求める審判を裁判所に請求可能になります。

今までは、養育費や面会交流の取り決めを行っても果たされていないケースが多く、子どもの福祉に反すると指摘されていました。
今回の法改正では共同親権を認めるだけでなく、養育費の支払いと面会交流の実施をより行いやすくする内容が盛り込まれました。

単独親権と共同親権のメリットとデメリット
共同親権の導入をめぐっては賛否が分かれているのが現状です。
今までの単独親権では、裁判所が親権者の決定をする際に女性が圧倒的に有利であり、男性にとっては不公平な制度でもありました。
親権者が面会交流を拒むケースも多くあり、親子関係が断絶されてしまう問題も指摘されていました。また、進学や就職など子どもの人生を左右する大きな決定に対しても、親権者のみの意見で決まってしまう問題もありました。
その他にも、子どもは一緒に暮らしている親権者の意見に同調せざるを得ないケースも問題視されていました。
一方で、共同親権にも反対意見があるもの事実です。
夫婦関係の悪化が原因で離婚している夫婦が大半であるにもかかわらず、離婚後も元夫婦が協力することを負担に感じる人も多いようです。
また、DVや虐待には該当しないが親として相応しくない言動がある場合でも、親権者両方の合意が必要な共同親権はデメリットにつながる恐れがあります。
このような問題に対しては、法律施行5年後にさらなる見直しを検討する規定も盛り込まれており、今度は問題点を改善しさらに良い制度に改正されることを期待したいです。

離婚時の親権が決まる条件
親権とは未成年の子どもに対する親の責任や義務で離婚時には親権者を決める必要があります。裁判所が親権を決める条件を解説。
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