離婚時に養育費の代わりに住宅ローンを返済
離婚時に養育費の代わりに住宅ローンを返済Child support and mortgages
夫の浮気による離婚 養育費の代わりに住宅ローンを返済してもらうことは可能か
住宅の購入には住宅ローンを利用する方が多く、30年前後のローンを組んでいる方も多いのではないでしょうか?
そのため、住宅ローンの返済中に離婚に至ってしまう夫婦もおり、住宅ローンの問題を抱える夫婦は決して少なくありません。
住宅は単なる所有物ではなく生活の一部となっているので、子どもの学校などの事情で離婚をしても住み続けたい方も多いと思います。しかし、実際にはローン返済中の住宅に離婚後も住み続けるのは難しい場合も多いようです。
離婚時の住宅ローンに関する問題は、夫婦で合意ができたとしても銀行が認めない場合もあり問題が複雑です
離婚後の住宅ローンに関する記事が、NEWS ポストセブンに掲載されていますたので紹介します。
離婚した女性が住宅を購入しようとすると、不動産会社から、住宅ローンの返済は大丈夫なのか、収入や養育費の支払いまで、根掘り葉掘り聞かれることも多いという。
そんな離婚女性ならではの住宅購入の悩みや相談に、離婚女性専門不動産会社『アベリア』代表の緑川陽子さん(45才)が回答する。【質問】養育費の代わりに、夫にローン返済をしてもらい、このまま住み続けたい
子供が小学校に入学した矢先、夫(34才・会社員)の浮気が発覚。家庭内は冷え切った状態で、離婚を考えています。ただ、子供を転校させたくはないため、今住んでいる家を離れたくありません。
夫から養育費の代わりに住宅ローン返済をしてもらい、家に住み続けることはできますか?(32才・専業主婦)【回答】住宅ローンと養育費の相殺は高リスク!
養育費や慰謝料の代わりに住宅ローン返済を、と考える人は少なくないようです。しかし、それらはあくまで自分や子供のためのもので、住宅ローンとは別のもの。夫側の支払いが滞れば、妻が気づかないうちに競売にかけられてしまうこともあるのでお勧めしません。
ローンが残っている家で、単純に名義だけを変更するという行為は、ほとんどの場合、銀行が承諾しません。銀行に内緒で名義を勝手に変更してしまうこともできなくはありませんが、知れると契約違反で一括返済を迫られるというリスクもあります。
そもそもローンが残っている家の名義だけを変更しても、その段階では資産にはなりません。返済中の家を自分名義にしたい場合は、自身でローンを組み、名義を移すのがセオリーです。それが難しければ、今の家に固執せず、新たな場所で心機一転された方がいいでしょう。(緑川さん)
養育費の意味を理解し住宅ローンとは分けて考える必要がある
離婚時には、お金の問題で合意できない夫婦は少なくありません。
結婚するときには、お互いのお金を夫婦で共有することになっても夫婦関係が良好で問題は起き難いでしょう。一方で、離婚するときには、夫婦の共有財産を分ける必要がありますが夫婦仲が悪くなっている場合が多く、お互いに譲り合う気持ちがなく問題が起きやすいです。また、浮気などの一方に離婚原因がある場合には、配偶者への恨みの感情を持っており感情面でも合意が難しくなります。
このような事情により、離婚をするときにはお金の問題を円満に解決できない夫婦も多いようです。
離婚時にトラブルになるお金の問題は主に以下の3つです。
・浮気やDVなど離婚原因がある場合の慰謝料
・子どもがいる場合には養育費
・共有財産の財産分与
この3つのお金の問題を、夫婦間で解決すなければいけません。
慰謝料について
浮気やDVなど一方に離婚原因がある場合には、慰謝料が請求できる場合があります。
慰謝料とは精神的や肉体的な苦痛に対して支払われる損害賠償であり、離婚の有責任者が支払い義務を負います。
過去の裁判では、「浮気などの不貞行為」「DVなどの暴力や言葉の暴力」「家から追い出された」「ギャンブルや無職などの問題」などで慰謝料が認められる場合があります。
慰謝料が請求できる条件にはさまざまなものがありますが、不法行為により精神的や肉体的苦痛を受けたときに認められます。
詳しくは浮気や不倫の慰謝料が請求できる条件と相場のページをご確認ください。
養育費について
未成年の子どもがいる夫婦が離婚をした場合には、親権者はもう一方の親に養育費の請求ができます。
養育費は離婚原因とは関係がないお金なので、子どもを引き取る(養育する側)人が離婚の有責任者でも請求ができます。
養育費は未成年の子どもの養育に必要な費用であり、子どもに代わり養育者が受け取っているお金です。つまり、妻(場合によっては夫)を養育するのお金ではありません。
離婚をして親権を得なかった親でも、離婚後も親子関係は継続しますので子どもに対して養育義務があります。一方で、夫婦は離婚をすると法律上は他人となり、元妻(または夫)を養育する義務は例外を除きなくなります。
詳しくは養育費の基礎知識 仕組みと金額の相場のページをご確認ください。
財産分与について
離婚時には夫婦の共有財産(ローンなどの負債も含め)を公平に分ける必要があり、このことを財産分与と呼んでいます。
財産分与の対象になる財産とは、婚姻期間中に夫婦の協力により形成・維持されてきた一切の財産です。
婚姻前からあった財産や親から相続した財産は特有財産と呼ばれ、夫婦の協力によって得た財産とは考えられず財産分与の対象ではありません。
財産分与では基本的には夫婦が折半で財産を分けます。専業主婦など所得がない人でも、妻は家事や育児を夫は仕事をしておりお互いの協力によって得た財産と考えられ、原則として妻にも半分の財産分与を受ける権利があります。ただし、夫婦の一方が特殊な能力や努力によって高所得を得ていると、お互いの貢献度により分割割合が変わる場合もあります。
預金、不動産、車などの財産は名義人とは関係がないので、共有財産であれば全ての財産が分与の対象です。
詳しくは離婚時の財産分与に含まれる財産と分割割合のページをご確認ください。
住宅ローンなどの負債の清算
紹介記事にもあるように、養育費と住宅ローンは全く異なる性質のお金です。
住宅ローンがある夫婦が離婚するときには、住宅を売却し現金にできれば公平に分与ができます。しかし、ローンの残債よりも売却価格が少い場合には難しいですし、売却までに時間が掛かる問題もあります。
また、引っ越しに伴い子どもの学区が変わってしまう場合もありますし、せっかく手に入れた自宅を手放したくないと感じる方もいます。しかし、これらは離婚する夫婦の問題であり、銀行の契約とは関係がないので離婚をしても契約内容は変更されません。
そのため、実際には所得が多く支払い能力がある側が住宅を所有し、ローンも一緒に引き受けるケースが多いようです。
住宅を売却しないときには、住宅の価値からローンの残債を差し引き、プラスの場合には住宅を所有しない側に半分を支払い、マイナスの場合には負債の半分を請求すると公平に分与ができます。
住宅を売却しないときに注意すべき点は、住宅を所有しない側が住宅ローンの契約者や連帯保証人になっている場合です。契約者や連帯保証人になっていると、離婚をしても銀行との契約には関係がなく継続するので返済が終わるで支払い義務を共同で負います。つまり、相手側のローンの支払いがと滞るとあなたに支払い義務が発生します。
このような問題を避けるには、契約者や連帯保証人の契約を解除する必要があるのですが、一般的に銀行はこのような変更を認めない傾向にあります。これは、ローンの契約時には夫婦2人の所得から返済能力を考慮して融資を行っており、銀行としては当然の判断と言えるでしょう。
養育費をあてにして住宅ローンを引き受けを考える方もいますが、銀行が合意するかの問題があります。また、養育費が支払われなくなってもローンの返済義務は当然あり、仮に銀行が同意したとしてもリスクが高い方法です。
離婚後に住宅ローンを引き受ける側は、自分だけの所得でローンの支払いが行えるか考慮しましょう。
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