ハーグ条約の執行を円滑に

ハーグ条約の執行を円滑に 実施法を見直す議論Treaty of The Hague

ハーグ条約の執行を円滑に

ハーグ条約は聞きなれない条約ですが、主に国境を越えた子どもの連れ去りを解決する目的とした国際条約で日本も2014年から発効しています。
親権をめぐる紛争に対応する国際的な枠組みとして、子どもを元の居住国に返還する手続や国境を越えた親子の面会交流の実現を目的に締約国間の協力等について定めた条約です。日本人と外国人の離婚に伴う子どもの連れ去りのみに限らず、日本人同士の夫婦が離婚した場合も対象です。
国際条約を円滑に遂行するには、日本国内の法律を加盟国と合わせる必要があり国内法を改正する議論が始まりました。これにより、国際的に遅れている日本の親権に関する法律が大きく変わる可能性があります。
ハーグ条約の執行を円滑に進めるため法改正に関する記事が、日本経済新聞に掲載されていますたので紹介します。

国境を越えた子どもの連れ去りを解決するための国際ルール「ハーグ条約」について、国内の実施法を見直す議論が始まった。
法制審議会の部会がこのほど、改正の試案をまとめた。子どもの負担にならないよう十分に配慮しながら、円滑に執行できるような改正をしてほしい。

国際結婚の破綻などで、片方の親が無断で子どもを自分の母国などに連れていくケースは少なくない。原則として子どもをもとの居住国に戻すのが、ハーグ条約のルールだ。日本では2014年に条約が発効した。
住み慣れた居住国にいるのが子の利益になる、という考え方が基本にある。もとの居住国で虐待の危険などがある場合には、返還はされない。最終的には、裁判所が返還の可否を判断する。
問題は、返還が確定したのに、実現しないケースが相次いでいることだ。例えば、裁判所の執行官が連れ去った親のもとに子どもを引き取りにいく強制執行の仕組みがある。その際、親と子が一緒にいなければ強制執行は認めない。その場で親が子どもを抱え込む場合は、引き離すことはできない。

試案では、連れ帰った親がその場にいなくても、もう一方の親が立ち会えばよい、などの見直しを盛り込んだ。国内の夫婦同士の離婚でも、親権を失った親が親権者に子どもを引き渡さないことがある。法制審ではこれについても同様の法整備を行う方向だ。
ハーグ条約をめぐっては、米国務省が日本を「不履行国」と認定するなど、国際的な批判が起きていた。執行力を高め、実効性を確保するのは妥当だろう。

一方、何より大事なのは、親の間で板挟みになっている子どもの負担をできる限り軽減することだ。強制執行にあたっては、子どもの心情に十分配慮し、丁寧な対応を徹底してほしい。
強制執行に至る前に、早期に問題が解決できるよう、条約に基づく父母の話し合いの支援なども充実させたい。

出典:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/
2018年07月05日 配信記事

国際結婚だけではなく親権者への引き渡しも変更

国際結婚をされた方の離婚は少数ではありますが、今後は日本も国際化が進むにつれて国際結婚が増加すると考えられます。
国際結婚が増えれば、国際結婚をしたの夫婦が離婚をするケースも増え、外国の方との離婚による親権問題も増えると考えられます。

ハーグ条約とは国際結婚をされた方が離婚したときに、親権者に子どもを引き渡しを目的とした国際的なルールです。ハーグ条約への加盟に合わせて国内法を改正する議論が始まりました。
国際条約を結ぶにあたって、加盟国のルールが異なっていると好ましくありませんので、日本の法律も諸外国と合わせる必要があります。
親権がない親が子どもを連れ去った場合には、国内であれば裁判所の強制執行で対応が可能ですが、海外に連れ去られた場合には国内法では対応ができません。
そのため、子どもを連れ去られた親は泣き寝入りするしかなく問題となっています。このような問題を解決するためハーグ条約に日本も加盟し、国内法をハーグ条約の加盟国と合わせる必要が出てきました。

親権者への子どもの引き渡し等のルールを国際的なルールに合わせる議論が行われており、見直しが行われると日本人同士の離婚の場合にも適用されます。
最も影響が大きいと思われる変更点は、親権を持たない親が立ち会わないと子どもの引き渡しができない現行法を改め、親権者のみが立ち合えば子どもの引き渡しが可能になる変更です。
裁判所の決定を無視して強引に子どもを渡さない場合には、親権者への子どもの引き渡しが容易になると考えられます。
また、日本では離婚前に子どもとの生活実績を作り、親権の決定を有利に進めようと考える親が子どもを連れ出して別居するケースが発生しています。このような行為は、今後は国際法にも反すると判断され、親権の決定で有利に働かないばかりか不利になるでしょう。
子どもを勝手に連れ出した親が親権争いで有利になる現状は、著しく不条理であり改善を期待したいと思います。

ハーグ条約に合わせた法改正が議論される理由として、国内法を国際ルールに近づけるだけでなく、裁判結果を無視し子どもの引き渡しを拒む親が多い理由もあるようです。
親権は親の希望で決定されるものではなく、子どもの利益を最優先に決定されるべきです。親の身勝手な行動は考え方を改めてほしいと思います。

離婚時の親権が決まる条件
親権とは未成年の子どもに対する親の責任や義務で離婚時には親権者を決める必要があります。裁判所が親権を決める条件を解説。
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