協議離婚、調停離婚、裁判離婚の違い

協議、調停、裁判離婚の違いと特徴Consultation mediation trial

協議、調停、裁判離婚の基礎知識

離婚を成立させる方法には協議、調停、裁判の3つの形式があります。
協議、調停、裁判は誰もが知っている言葉ですが、特徴や違いを正確に理解している方は少ないと思います。
協議、調停、裁判は離婚を成立させる手段で、離婚をするかしないかや離婚条件を決める方法です。
それぞれの離婚方法にはメリットとデメリットがあるので、違いを理解し最も適した方法を利用しましょう。

離婚には原則として夫婦双方の同意が必要であり、一方が同意しなければ離婚は成立しません。また、離婚をする際には離婚の同意以外にも、親権、慰謝料、財産分与などの取り決めが必要です。
夫婦の話し合いで合意できなければ離婚ができるので、まずは協議での離婚の成立を目指します。夫婦の話し合いで合意できなければ、調停による話し合いで合意を目指す必要があります。調停での話し合いでも合意できなければ、裁判の判決で強制的に離婚や離婚条件を決定します。
離婚をするときの方法である、協議、調停、裁判を説明します。

夫婦の話し合いで離婚が成立しない理由

離婚には原則として夫婦双方の合意が必要で、一方が同意しなければ離婚はできません。
また、夫婦双方が離婚自体には同意していても、離婚条件で合意ができず離婚が成立しないケースもあります。その他にも、配偶者が離婚の話し合いに応じず離婚ができないケースもあります。

夫婦の話し合いで離婚が成立しなくても、条件を満たせば配偶者の同意がなくても裁判で強制的に離婚ができます。また、親権、財産分与、養育費などの離婚条件も裁判所の判決で決まります。
配偶者の同意がなくても裁判で離婚ができる「法廷離婚事由」は、ページ下部で紹介します。

離婚を成立させるには、まずは夫婦間の話し合いで合意を目指します。
夫婦間で合意する必要がある事柄は主に以下です。

離婚するときに合意が必要な事柄

正確には、「離婚の同意」と「親権の決定」の2つが合意できれば離婚は成立します。
離婚の同意と親権以外は、必ずしも離婚と同時に決める必要はありません。離婚後に決めたり、これらの権利を放棄してでも離婚はできます。
（※離婚後に請求できる期間が決まっています。）
しかし、離婚後の話し合いは精神的な負担を感じますし、相手が話し合いに応じなくなってしまう可能性もあります。また、取り決めができていないと後になりトラブルが発生する可能性もあります。
そのため、特別な事情がある場合を除きこれらの取り決めは離婚と同時に行います。

配偶者の同意がなくても離婚できる法廷離婚事由

離婚は原則として夫婦双方の同意が必要ですが、民法で定める「法定離婚事由」があれば配偶者の同意がなくても裁判で離婚ができます。
法廷離婚事由は原則として原告が証明する必要があり、客観的な証拠がなければ事実がなかったと判断される場合があります。
裁判で離婚ができる法定離婚事由は次の5つです。

相手の同意がなくても裁判で離婚ができる法定離婚事由は、下記のページで詳しく紹介しています。

裁判で離婚を成立させるには、裁判官に「確かに離婚原因がある」と確信させれる必要があり、客観的に見て法廷離婚事由があった事実の証明が必要です。
名古屋調査室ai探偵事務所では、裁判で有効な証拠を入手する目的の調査を行っています。
裁判で必要な証拠がないときには当探偵事務所に相談ください。

離婚の合意ができないときの進め方

夫婦の話し合いで離婚を成立させる方法を「協議離婚」と呼び、離婚届を役場に提出するだけで離婚が成立します。
最も一般的な離婚方法で多くの夫婦では協議離婚が成立しています。
ただし、協議離婚では「離婚の同意」と「離婚条件の合意」が必要で、一部の夫婦では協議で離婚が成立しない場合があります。

夫婦の話し合いで離婚の成立ができなければ、調停委員が仲介役を務める「調停離婚」で解決を図ります。
裁判と異なり調停には法的な拘束力がないので、最終的に夫婦が合意できなければ離婚は成立しません。しかし、調停委員が間に入ると話し合いがスムーズに進み、離婚が成立する場合が多いようです。
ほとんどの条件で合意できているが些細な事情で調停が決裂しそうなときには、裁判官が離婚を決定する審判があります。ただし、審判は2週間以内に当事者が異議を申し立てれば効力がなくなります。

調停（もしくは審判）でも結論が出ないときには、裁判の判決で離婚を成立させる「裁判離婚」が残された唯一の方法です。
裁判の判決には法的な拘束力があるので不服でも従う必要があり、離婚や離婚条件を強制的に決定できます。
協議や調停で離婚の合意ができなくても、裁判の判決では強制的に結論がでます。

離婚をする際には一般的に以下の順番で進めます

夫婦の話し合いで離婚の合意ができなければ調停での離婚を目指し、調停でも合意ができないときには裁判で離婚を成立させます。
夫婦の話し合いで離婚が成立しなくてもすぐに離婚裁判はできず、原則として事前に調停手続きを経ている必要があります。そのため、裁判で離婚を成立させるには期間が掛かります。
現在の日本では協議で離婚が成立する夫婦が離婚全体の90％です。調停での離婚がおおよそ8％で、裁判での離婚は全体の1％です。

協議離婚の詳細と費用

協議離婚とは、夫婦の話し合いで離婚を成立させる方法です。
最も一般的で簡単な離婚方法で、多くの夫婦は話し合いで離婚が成立しています。
お互いが同意し婚姻届けを役場に提出すれば結婚は成立します。離婚も同じで、夫婦がお互いに同意し既婚届を役場に提出すれば離婚が成立します。
協議離婚は夫婦双方の合意のみで離婚ができますが、一方が同意しなければ離婚は成立しません。
離婚をするか否かと親権の同意ができれば離婚は可能で、その他の離婚条件は離婚と同時に決める必要はありません。しかし、一般的には離婚条件を離婚と同時に決める夫婦が多く、離婚条件で合意できない理由で離婚に応じない場合があります。
協議で離婚を成立させるには、離婚に伴う問題を夫婦で話し合い解決する必要があります。

離婚の話し合いは必ずしも当事者が行う必要はなく、弁護士に交渉の代理を頼めます。弁護士に離婚交渉を依頼しても、裁判所の手続きを行わなければ協議離婚です。
協議離婚は、夫婦の合意だけで離婚が成立するので時間や費用は掛かりません。弁護士に交渉を依頼しても、調停や裁判での離婚ほど費用は掛かりません。

手続きが簡単な協議離婚にはデメリットもあります。
協議離婚はお互いの合意が条件なので、離婚や条件に同意しなければ離婚ができません。また、配偶者が話し合いに応じなければ離婚の成立は困難です。
また、財産分与や養育費の取り決めができていなかったり、口約束だけで離婚をしている夫婦も少なくありません。そのため、後になり財産分与、養育費、面会交流など、離婚条件による問題が発生する可能性があります。
財産分与は清算が済んでいれば問題は起こり難いですが、養育費など長期に渡って受け取るお金は未払いになる可能性があります。
夫婦でしっかりと取り決めを行い同意内容を書面に残す必要があります。一般的には離婚協議書を作成しますが法的拘束力が限定的なので、法的拘束力が強い公正証書を作成をお勧めします。
協議で離婚が成立しないときには調停の利用を検討しましょう。また、配偶者が公正証書の作成に応じないときには、同等の効力を持つ調停調書が手に入る調停を検討しましょう。

協議離婚の費用

協議離婚は、離婚届けを役場に提出すれば離婚が成立しますので費用は掛かりません。
ただし、弁護士に交渉を依頼したときには弁護士費用が必要です。また、公正証書を作成するには手数料が必要です。
協議離婚の弁護士費用は、離婚の成立だけなのか親権や財産分与も依頼するかで異なりますが15～40万円の費用が相場です。
公正証書の作成には手数料が必要ですが、公証役場は公的機関であり少額で作成が可能です。公正証書の作成費用は契約金額で変わりますが、離婚の公正証書であれば通常は数万円程度です。

調停離婚の詳細と費用

調停離婚とは、中立な立場の調停委員が2人の間に入って話し合いを進める制度です。
調停は裁判とは異なる制度で、法的拘束力がある判決は出せません。また、原則非公開で行われプライバシーが保たれます。
調停離婚は必ずしも弁護士を利用する必要はなく、あなた自身が調停委員と話し合いができます。
ただし、調停委員はあなたの味方をしてくれる立場ではなく、中立で話を進める役割を受け持ちます。調停を有利に進めるために弁護士を利用する方が多いようです。
夫婦関係の悪化や意地の張り合いで離婚が成立しないときは、調停を利用すると合意できる場合があります。また、相手が話し合いに応じないときでも、調停での話し合いには応じる場合があります。
また、慰謝料や養育費などの取り決めが調停調書として残り後から問題が置き難いです。
一方で、お互いが同意できなければ離婚が成立しないデメリットがあります。

調停は調停委員を立てた話し合いの場ですが、調停で離婚が成立するケースは多いようです。
あなたが裁判に抵抗を感じるのと同じで、相手も裁判を避けたいと考えます。また、あなたが正当な主張を行っていれば、相手は裁判をしても結果が変わらないので調停で合意する可能性があります。
調停で離婚が成立しなければ、裁判以外に離婚を成立させる方法はありません。ただし、離婚問題で裁判まで発展するケースは1％前後で、ほとんどは調停までで離婚が成立しています。

調停離婚の費用

調停の利用だけであれば、印紙代など合計5,000円前後で利用できます。
弁護士に交渉を依頼すると弁護士費用が別途必要です。
弁護士費用は、離婚の成立だけなのか親権や財産分与も依頼するかで異なりますが30～70万円が相場です。

調停離婚に必要な期間

過去の離婚調停では、解決までの期間は最短で1ヵ月から1年以上まで大きな差があります。
夫婦の争いごとが多いほど期間は長くなり、譲れない条件があると長くなる傾向にあります。
また、お互いに離婚条件を譲り合う気持ちがないときも、合意までに時間が掛かったり合意できない場合があります。

裁判離婚の詳細と費用

調停でも離婚の合意ができないときには、裁判での離婚が残された唯一の方法です。
裁判で離婚を成立させるには精神的にも経済的にも負担がありますが、判決により必ず結論が出るメリットがあります。

裁判による離婚では、夫婦が「原告」と「被告」の立場で争い最終的な決定権は裁判官にあります。
裁判の判決には法的な拘束力があるので、配偶者が「離婚に応じない場合」や「離婚条件で合意しない場合」でも、強制的に結論が決まります。
しかし、あなたに取って納得ができない判決でも、裁判の判決には従わなければいけません。
また、裁判はやり直しができないので一度出た判決は原則として変更できません。後悔しないためにも十分な準備をして裁判を行いましょう。
民事訴訟には調停前置主義（ちょうていぜんちしゅぎ）があり、調停を行わずに訴訟の提起は例外を除きできません。
裁判は原則として公開の法廷で行うので、傍聴席に知り合いが来るなどプライバシーが保たれないデメリットがあります。

裁判は事実と法律に基づき公平は判決を出す場所です。
裁判所は事実を調べたり証明をする場所ではなく、原告側が事実を証明する義務を負います。事実が証明できないと、第三者には真実は分からないので事実がなかったと扱われます。
財産分与や養育は事実を証明しても結論は変わらないと思われます。一方で、慰謝料を請求するには不法行為の証明が、親権の獲得には配偶者が親としてふさわしくない証明が必要な場合があります。また、面会交流が制限される場合もあります。

裁判離婚の費用

裁判で離婚を成立させるには、裁判所に支払う印紙代や切手代などの費用が数万円程度必要です。また、裁判は弁護士を利用する方が多く、別途弁護士費用を考える必要があります。
離婚裁判で弁護士を利用したときの費用は、依頼内容により異なりますが60～120万円の弁護士費用が相場です。
裁判で離婚を成立させるにはある程度の費用が必要です。親権など譲れない条件があり勝訴できる可能性があれば検討する価値があります。

裁判離婚に必要な期間

事前に調停を行わなけらば裁判はできませんが、ここでは調停後の裁判期間を紹介します。
通常は、訴状を提出してから1ヵ月後に第一回の口頭弁論が行われます。その後も1ヵ月に一度のペースで口頭弁論が行われるので、ある程度の期間は覚悟しなければいけません。
判決が出るまでの期間は、短ければ6ヵ月程度ですが、長いと判決が出るまでに3年以上掛かります。判決が出るまでの期間は開きがありますが、過去の裁判では1～2年で判決が出ているようです。

有利な条件で離婚を短期間で成立させる

離婚が成立するまでに時間が掛かると、金銭的や精神的な負担だけでなく新たな生活のスタートが遅くなります。
同居が困難になる夫婦も多いですし、生活環境が変わる負担や将来への不安を感じる方も居ます。
離婚に伴い苗字が変わる親が親権を得たときには、子どもの入学前に離婚をすると不都合が少ないです。また、入学後に離婚をすると子どもの苗字や学区の問題も考えなければいけません。
いずれにしても、離婚は早く成立させるとメリットが大きいでしょう。

離婚が合意できない理由

相手が離婚に同意しない理由は、「感情的な理由」と「条件的な理由」の主に2つです。
感情的な理由とは、配偶者に愛情があり離婚をしたくない理由だけではありません。配偶者に対する憎しみや嫉妬の気持ちがあり、相手の思い通りにさせたくない理由で離婚に合意しないケースもあります。
夫婦関係が悪化すると、話し合いができなくなり離婚の合意が難しくなります。離婚をする夫婦は基本的に仲が悪くなっていますが、できるだけ良好な関係を保ち冷静に話し合いを行いましょう。

条件的な理由とは、財産分与や慰謝料など金銭的な問題と親権で合意ができない夫婦が多いようです。
一方的に希望する離婚条件を求めても、相手にとっては受け入れできません。また、あなたに対する不信感を招き夫婦関係が悪化し、感情的な理由でも合意が難しくなります。
裁判の判決は法的に公平な内容なので、それに近い内容での合意を目指しましょう。
お互いに相手の立場を理解し歩み寄れば、早期に離婚が成立する可能性が高くなります。

離婚を短期間で成立させる方法

配偶者が離婚に同意しなくても、法廷離婚事由があれば離婚ができます。
配偶者に法廷離婚事由があるのであれば、その証明が離婚の早期成立に役立ちます。
法廷離婚事由の証拠があれば、裁判で離婚を認める可能性が高いです。そのため、配偶者は裁判をしても離婚が避けられないと考え、協議で離婚に応じる可能性が高まります。
また、慰謝料や親権に関しても、裁判をしても勝ち目がないと配偶者が考えれば、協議で同意する可能性が高まります。
その他には、妥当な離婚条件を提案すると、協議で合意できる可能性が高いです。

離婚を早期に成立させるには、「事実を証明できる証拠」と「妥当な離婚条件」の提案が大切です。
名古屋調査室ai探偵事務所では、離婚の成立を目的に必要な調査や証拠収集を行っています。
配偶者に「法定離婚事由」がある場合には証拠収集を行っています。また、「法定離婚事由」に該当する事実がないかの確認調査も可能です。
依頼者の希望する結果を手にするために必要な調査を行っています。